家賃収入に関するリスク
家賃収入に関するリスクには、大きく分けて「空室によるリスク」「中途解約制度によるリスク」「賃料の下落リスク」「賃料滞納のリスク」の4つがあります。不動産投資においてはリスクがつきものです。そのリスクの特性を十分に把握することが成功を左右します。
■空室によるリスク
不動産投資によって得られる収益の中心は毎月の賃料収入です。そのため、空室であったり、仮に借主が何らかの事情で退居した場合、新たな借主が見つかるまでの間、賃料収入を得ることができません。
しかも収益の有無によらず、固定資産税、都市計画税、管理費などの経費が発生します。そのため、空室により家賃収入が入らない場合、マイナスになってしまいます。
たとえば1年のうち6ヶ月空室だった場合、賃料収入は半分になりますが経費は1年を通じて発生しますので収入、利回りは1年間入居者がいた場合の半分以下になってしまいます。
稼動期間 | 全期間稼動 12ヶ月 |
半年稼動 6ヶ月 |
稼動しない 0ヶ月 |
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投資額 | 10,000,000円 | 10,000,000円 | 10,000,000円 |
月額賃料 | 50,000円 | 50,000円 | 50,000円 |
年間賃料 | 600,000円 | 300,000円 | 0円 |
年間経費 | 100,000円 | 100,000円 | 100,000円 |
年間所得 | 500,000円 | 200,000円 | -100,000円 |
実質利回り | 5.00% | 2.00% | -1.00% |
■中途解約によるリスク
賃貸借契約を締結する場合、通常2年~3年の期間を定めます。さらに、借主からの中途解約条項が入っているのが一般的です。したがって、契約を締結しても中途解約される恐れがあります。契約期間内で賃料が確保されたとは言えないのが現状です。
借主から中途解約された場合、すぐに次の借主が決まらなければ収入が途絶えてしまいます。また、新しい借主が見つかったとしても今までの賃料を得られるかわかりません。
ただし、平成12年3月1日施行の「定期借家」制度を上手に活用することで、借主による中途解約や契約途中での賃料の減額請求などを排除することが出来るようになりました。
「定期借家」制度とは「貸主と借主が対等な立場で契約期間や家賃等を定められる自由な賃貸借契約制度」です。ですが、事業用と一部の居住用に限られます。
地価、物価、賃料が右肩上がりだった時代は、「貸し手市場」と呼ばれ、空室が出ても新たな借主を確保することは容易でした。
しかし、現在のような「借り手市場」では、新たな借主を速やかに確保できるかどうか、難しい問題になってきています。安定した収入を得る為には、中途解約が明らかになった時点で早く次の手を打つ必要があります。
■賃料の下落リスク
現在の賃料が近隣の賃料相場と比べて高いと、契約更新や借主が入れ替わるときに近隣相場に合わせて賃料を引き下げないといけない場合があります。物件購入時の利回りが高い場合でも、将来、借主の入れ替えや賃料の減額交渉、経経年劣化等で賃料が引き下げられる可能性もあるので注意が必要です。
■賃料滞納のリスク
借主がきまり、空室の心配がなくなっても、借主の一方的な事情によって賃料が予定どおり支払われなくなるというように、不動産投資には賃料滞納のリスクがあります。
賃料を滞納された場合は、借主への督促、連帯保証人への督促が必要となり、回収催促や、賃料の不払いのための業務を不動産業者や弁護士などに依頼したりする費用が発生します。労力と費用が発生することに加えて、新たな借主を確保して収入を得ることができませんので、空室である状態よりもさらに損害を被ってしまう可能性があります。仮に立ち退きが成立したとしても、不払い分の賃料が回収できるかどうかはわかりません。
まずは、入居者を決める際に厳しく審査することが必要でしょう。また、滞納家賃を保証してくれるサービスも検討するものいいでしょう。