運用・売却時の費用

不動産購入後は収益の有無によらず、賃貸管理会社への管理費、修繕費、固定資産税、都市計画税など、保有しているだけでいろいろなコストが発生します。
不動産所得=総収入額-必要経費(固定資産税、都市計画税、維持管理費、入居者募集費用、所得税、住民税、減価償却費、借入金の金利など)

■固定資産税、都市計画税

収益にかかわらず、固定資産税、都市計画税は、不動産を保有しているだけで毎年発生します。税額は以下になります。

固定資産税=固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(1年あたり)
都市計画税=固定資産税評価額(課税標準)×0.3%(1年あたり)

※税率は各市町村で異なる場合があります。

固定資産税評価額が一定金額(土地30万円、建物20万円)に満たない場合、固定資産税は非課税になります。固定資産税の課税標準は、固定資産税評価額ですが、現在ほとんどの土地が負担調整措置として一定額の減額があります。
住宅用地には課税の軽減措置として、課税標準を低くする特例があります。これは住宅用地では居住用建物の敷地のうち1戸につき200㎡までの部分については、固定資産税評価額の1/6が課税標準に、200㎡を超える部分については1/3が課税標準になるというものです。
同様に都市計画税についても、その敷地のうち200㎡までの部分については、固定資産評価額の1/3が課税標準に、200㎡を超える部分については2/3が課税標準になります。

■維持管理費

不動産を運用する場合、不動産を維持・管理して行くためにコストが発生します。
この維持管理のコストは大きく2つにわけられます。

・土地建物を含む不動産自身の管理コスト

エントランス、廊下、階段、ゴミ置場などの清掃、エレベーターの保守点検、防犯設備の維持管理、共用部分の光熱水道費などがあたります。

・入居者(テナント)管理コスト

主に賃料の集金や滞納の督促、入退去手続きなどがあたります。

■所得税、住民税

個人が不動産から得る家賃などの収入(不動産所得)には税金が課せられます。
不動産所得の税率は所得金額に応じて税率が高くなる超過累進税率です。不動産所得が多いほど高い税率が適用されます。不動産所得は総合課税の対象となっているので、他に給与所得などがある場合は、それを合算して最終的な税率、税金が算出されます。
所得税、住民税は併せると最低15%から最高50%の税率となり、所得が高くなるほど税負担も重くなります。

所得税・住民税合算税率表
課税所得金額 税率 控除額
200万円以下 15%
200万円超 330万円以下 20% 10万円
330万円超 700万円以下 30% 43万円
700万円超 900万円以下 33% 64万円
900万円超 1800万円以下 43% 154万円
1800万円超 50% 280万円
運用・売却時の費用

■譲渡所得税

不動産を売却する場合、売却により得られた利益に対して所得税・住民税が課されます。これを譲渡益課税と呼びます。長期譲渡所得と短期譲渡所得に分類され、税額もそれぞれに分けて計算されます。

・譲渡所得税 = { 譲渡収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)-特別控除 }×税率

・長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるもの)の税額の計算

税額=課税長期譲渡所得金額×税率20%(所得税15%、住民税5%)

・短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下のもの)の税額の計算

税額=課税短期譲渡所得金額×税率39%(所得税30%、住民税9%)

【取得費】

取得費は、譲渡した土地や建物などの資産の取得に要した費用です。購入代金のほか、購入時の仲介手数料や登録免許税などの税金、登記費用、不動産購入資金の借入利子のうち、その不動産を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子、取得後に支出した改良費、設備費などが含まれます。なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

【譲渡費用】

譲渡費用は、不動産を売却に要した費用で、売却のための仲介手数料や登録免許税とその費用(抵当権抹消費用は含まず)、売買契約書に貼付した印紙税などが含まれます。

【特別控除】

特別控除には特例があります。それぞれの特別控除額は、上記に示した額にかかわらず、特例の対象となる譲渡益の額が上限です。また、特別控除額の合計額は、年間5,000万円が限度となり、5,000万円に達するまでの特別控除の順番は、上記の1から5の番号順で進めます。

特別控除の特例
1.公共事業などのために土地建物を売却した場合 5,000万円
2.自己居住用財産を売却した場合 3,000万円
3.特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合 2,000万円
4.特定住宅造成事業などのために土地を売却した場合 1,500万円
5.農地保有の合理化などのために土地を売却した場合 800万円
運用・売却時の費用