購入申込から売買契約
購入したい物件が決まったら、「購入申込」を行います。売主と契約条件を調整・確認し、売買条件の合意がなされると、契約に向けての手続きを行います。物件の売主や仲介者が不動産業者の場合は売買契約に先立って、取引物件の「重要事項に関する説明」を受けます。
重要事項説明書の内容を十分に理解した上で契約に臨みましょう。
■購入申込
買主は不動産会社を通して、通常は書面で購入の意思表示をします。この書面を、「購入申込書」または「買付け証明書」と言います。購入申込書には、購入希望金額、手付金の額、契約希望日、引渡しの時期、付帯工事の有無等などを記載して売主に対して正式な購入の意思表示を行います。
しかし、購入申込書を提出したからといって、必ず物件を購入できるわけではありません。契約書ではないので、購入申込書には法的な拘束力はありません。申込書提出後、購入をキャンセルしても、相手方から損害賠償を請求されることは問題ありません。
ただし、不動産会社からの信用を失うことになりますので、十分検討したうえで申し込みをすべきです。
■重要事項説明
物件の売主や仲介者が不動産業者の場合は、売買契約締結前に買主に対し、「重要事項説明」を書面をもって宅地建物取引主任者が行います。重要事項説明に記載されている内容は難しいことが多いですが、ここで内容を理解することはとても重要です。事前に準備してもらい、不明な点があれば担当者に遠慮なく質問しましょう。
「重要事項説明書」には以下の内容が記載されています。
・不動産業者及び説明をする宅地建物取引主任者
不動産業者の免許番号や説明をする取引主任者の氏名を記載
・登記簿に記載された事項
土地・建物の登記簿の内容、所有者の住所氏名や権利関係を記載
・法令に基づく制限内容
都市計画法や建築基準法などの制限の内容や一定の法律に該当する場合にその説明を記載
・私道負担に関する事項
敷地内の私道の有無や負担金がある場合に記載
・飲用水・電気・ガスの供給状況並びに排水設備の整備状況
整備の有無や予定、負担金の有無を記載
・完成時の形状、構造、その他国土交通省令で定める事項
土地形状・構造、道路幅員、建物形状・構造、主要構造、外装、内装、設備などを記載
・代金、交換差金以外に授受される金額、その目的
売買代金以外に授受される、手付金、印紙代、税金などの金銭の金額とその目的を記載
・契約の解除に関する事項
手付解除、契約違反による解除などとその方法を記載
・損害賠償の予定または違約金に関する事項
売買契約違反があったときの定めなどを記載
・手付金の保全措置の概要
手付金の保全方法、保全措置を行う機関の記載
・支払金または預かり金の保全措置
支払金、預かり金について保全措置をどう行うかを記載
・金銭の貸借のあっせん
売主があっせんする提携ローンの金融機関名を記載
・あっせんした金銭貸借が不成立のときの措置
提携ローンが不成立のときの契約解除などを記載
・その他の事項
物件個別の特筆すべき事項
■売買契約締結
売買契約書には、売買代金や売買対象面積、引渡し時期等が明記され、売主、買主が記名押印して成立します。仲介物件の場合は、不動産会社に対して仲介手数料(半金)の支払いも必要になります。契約書の基本的な記載事項は次のとおりです。
・当事者の氏名および住所
売主買主の住所氏名
・売買対象不動産の表示
物件を特定するための表示。土地の場合は所在、地番、地目地積を記載。建物の場合は所在、家屋番号、構造、床面積を記載。
・売買代金およびその支払方法
売買代金総額、手付金から残金支払までの支払時期と支払方法を記載。
・引渡し時期
物件の引渡し時期を記載。通常は所有権移転時期と同時になります。
・所有権移転時期と登記申請について
所有権移転および登記申請を行う時期を記載。
・手付解除・その他の契約解除に関する定め
通常買主は手付金放棄、売主は手付金の倍返しによって、解約ができる権利を有しています。
・契約違反の場合の取決め
売主または買主が期限を定めた義務の履行をせず、契約に違反した場合の措置を記載。
・ローン利用の特約
ローン利用がある場合、融資の実行が否認された場合の措置とその期日を記載。
・天災地変等の不可抗力による損害賠償
契約から引渡しまでの間に、天災地変等の不可抗力により取引物件に損害が発生した場合、その責任と負担について定めた事項を記載。
・瑕疵担保責任
引渡し後に隠れたる瑕疵(売主が知り得なかった物件に関する不具合)が発見された場合、売主の修復等の責任に関して定めた事項を記載。
公租公課の分担の取決め
固定資産税、都市計画税等は引渡日による月割または日割清算を行います。(地域や物件によって異なる)